角膜ヘルペス / 眼瞼ヘルペス
角膜ヘルペスとは、ヘルペスウイルスが角膜に感染したものをいいます。
大きく2種類のウイルス(単純もしくは帯状ヘルペス)がありますが、角膜ヘルペスを起こすのはほとんどが単純ヘルペスウィルス1型というものです。
大半の人が幼少時にヘルペスウイルスに感染していますが、9割の人は症状が出ず、感染に気付くこともありません。感染したウイルスは目の奥の三叉(さんさ)神経節に住み着き、たいていの人はそのまま一生を終えるのですが、疲れ・ストレス・発熱などによって眠っていたウイルスが活発となり、角膜ヘルペスが発症する場合があります。角膜ヘルペスとして再発する人は全体の約10%と言われていますが、なかには再発を繰り返す患者さんもいます。放置すると角膜に混濁を来たすため、角膜移植が必要となる場合がありますが、早期にきちんと治療をすれば再発をしながらも良好な視力を保持できる病気です。
角膜ヘルペスは大きく2つのタイプに分類されます。
(1)上皮型
角膜は、上皮・実質・内皮の3層を主体とする構造になっていますが、この内最も外側にある上皮層にウイルスが活発に増殖することで感染した上皮の細胞が抜け落ちます。樹木の枝のように見えることから「樹枝状角膜炎」とも呼ばれます。
治療法として、ヘルペスウィルスの増殖を抑えるために、抗ウイルス薬のアシクロビル眼軟膏を用います。
(2)実質型
角膜実質層で炎症が起こり、丸く広がって次第に濁っていくことから「円板状角膜炎」とも呼ばれます。上皮型に比べ、視力が大きく低下することがあり、改善には数ヶ月かかることもあります。まれに角膜に瘢痕が残り、視力が回復しないケースもあります。
治療法として、抗ウイルス剤とともに、炎症を抑えるためにステロイドを併用します。ステロイド治療を正しく行わないと、逆に角膜の病変が悪化することがありますので注意が必要です。
ヘルペスウイルスは神経の奥に潜んでいるため、治療で一時的に症状がなくなっても再発を起こす可能性は常にあります。再発を防ぐ完全な方法はありませんが、日頃から体調を整えたり、ストレスをコントロールして規則正しい生活を送ることが大事です。