加齢黄斑変性(AMD)

加齢黄斑(おうはん)変性とは加齢とともに網膜に有害副産物が蓄積され、網膜で最も重要な中心部分(黄斑部)で光を感じとる役割を果たす細胞が損傷する病気です。患者数は全世界で推定1億3,500万人(2014年)とされ、米国では50歳以上の人の失明原因のトップです。日本でも急速な高齢化や生活様式の変化などのため、この病気に伴う視力障害者が急増しています。

主な症状は、視野の中央がよく見えない、ゆがむ、真ん中が暗く抜けて見える、などです。見たいところが見えず読みたい文字が読めないという、とても不便な状態になってしまいます。最初は片方の眼に起きて程度も軽いために見過ごされることも少なくありません。加齢黄斑変性には下記の2種類のタイプがあります。

 

(1)萎縮型(dry)AMD

 

黄斑の組織が加齢とともに萎縮(地図状萎縮)してくるもので、加齢黄斑変性の約9割はこのタイプです。萎縮の進行は遅く、ゆっくりと視力が低下していくのが特徴です。少ないながらも「萎縮型」から「滲出型」へと進行する可能性もあるため定期的な検査が望まれます。地図状萎縮は時間が経過するほど病変部が拡大していくため、その進行をいかに早期に抑制できるかが鍵となります。現時点で「萎縮型」に対する有用な治療法はありませんが、米国ではいくつかの薬剤の開発が進行中です。

 

そのなかで最も有力な薬剤は「Lampalizumab(ランパリズマブ)」という抗補体因子D抗体フラグメントで、世界最大手のロシュ社が開発しています。下記抗VEGF薬と同様な硝子体注入薬で、海外臨床試験では18ヶ月で地図状萎縮病変進行を20%抑制する効果が確認されています。

 

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(2)滲出型(wet)AMD

 

網膜のすぐ裏側の脈絡膜という部分に、異常な新生血管(しんせいけっかん)が生えてくることによって起こるタイプです。この血管は非常にもろく、成分が漏れ出て溜まったり出血を起こしやすいという特徴があります。病状の進行が速く急激に視力が低下していきます。この脈絡膜新生血管の成長には、VEGF(血管内皮増殖因子)およびPDGF(血小板由来成長因子)が強く関与しています。

 

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よって「滲出型」の治療は、眼内のVEGFとPDGFを減らせばよい、ということになります。現在国内ではルセンティス®・アイリーア®・マクジェン®という3種類の薬剤が使用可能であり、このうちいずれかを目の中に注射します。いずれの薬剤もVEGFの働きを協力に抑える作用があり、注射による視力の改善効果が認められています。

 

実際の治療方法としては、いずれの薬剤も白目の部分から眼の中心の硝子体という場所に向けて注射します。1回では治癒せず、複数回繰り返して注射(硝子体注入)する必要があります。検査は症状に応じて1〜3月毎に、視力検査・眼底検査・光干渉断層撮影等を行います。

 

(加齢黄斑変性症例 ①)

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注入前         1週間後

 

(加齢黄斑変性症例 ②)

加齢黄斑変性

 


以前は治らない病気として諦められていましたが、現在ではこれらの薬剤の登場により進行を防げますし、早期であれば視力回復も十分に望めます。
元々院長の専門は網膜硝子体外科であるため、当院では黄斑変性治療を積極的に行っています。「ゆがむ」「急に真ん中が見ずらい」などの症状がありましたら、お早めにご相談下さい。

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