レーシック・ICL(フェイキックIOL)」カテゴリーアーカイブ

緑内障学会@神戸

先々々週は,前後転術(内斜視)〜水晶体再建術(両眼同日・多焦点を含む)〜出張手術。
先々週は,硝子体茎離断術(黄斑前膜)〜iStent inject W 挿入術(緑内障)〜水晶体再建術(両眼同日を含む)。
先週は,硝子体茎離断術(黄斑円孔)〜ICL近視矯正手術〜水晶体再建術(両眼同日を含む)〜出張手術。
今週は,硝子体茎離断術(黄斑前膜)〜ICL近視矯正手術〜水晶体再建術
皆さん経過良好です!

週末は緑内障学会に出席のため,16年ぶり3回目の神戸へ(昨年は姫路,来年は静岡!)。
1998年の臨眼(医師3年目;専門別研究会にて口頭発表),2009年の手術学会,そして今回。
主要学会での初演題は今思えば稚拙な内容でしたが,誰からの指示でもなく自らのアイデアだったため,結局その研究手法が5年後の学位取得につながりました。

今回興味深かった内容:
全眼球および部分顔面移植後の症例報告 ⇒ 生着はするも視覚回復は認められず(JAMA 2024)。
イーロン・マスク氏のNeuralink社が開発した視覚再生脳内インプラント(ブラインドサイト;Blindsight)はFDAから画期的医療機器(Breakthrough Device)と指定済。
⇒ ARVOで招待講演されるほど注目されているが,論文は皆無。侵襲性の高い臨床試験のため,通常であれば倫理的に問題視される可能性が高いが,マスク氏ならそこはなんとか…笑。
複数のSNP重複変異 ⇒ 緑内障発症のリスク↑↑↑
フラマー症候群とNTGに相関あり ⇒ やはり血流障害はよくない。生姜は血流改善効果あり!
白内障術後に眼圧(見かけ上の測定値)が下がっても,緑内障性視野障害は進行する。
⇒ 角膜ヒステレシス(角膜弾性)の変化により術後一過性に低い測定値となっているだけで,ヒステレシスが戻れば眼圧も元に戻る。当然ながら視野の進行は止まらない。
眼圧と脳脊髄圧との圧格差は緑内障の進行要因の一つ(拡張期血圧が低すぎるのも同様)。
⇒ 脳室シャント術後の低随圧で視野狭窄が悪化(過度の低随圧は要注意)。
ROTA(網膜神経線維層テクスチャ解析):正常眼データベースに依存しない!
⇒ 初期緑内障でも高率に乳頭黄斑繊維束欠損あり。
OCTAのFAZ(中心窩無血管領域)面積:DRのみならず緑内障でも有用。
MLTはSLTと比較し,術後一過性の眼圧上昇なし ⇒ 当院でも確認済。
緑内障術後眼瞼下垂の頻度:濾過手術後10%・チューブシャント術後20%以上(白内障術後3%)。

そして,山中伸弥先生の特別講演!
当日朝にヘルシンキから帰国したばかりとのことで,超多忙のなかでのご講演。
医師を志した理由・若くして他界した父へ何もしてあげられなかった無念さを,亡き父上の写真を投影しつつ語られ,そしてiPS細胞誕生からCiRAでの臨床試験の現状・iPS財団設立の理由などをユーモアを交えながら話されていました。
さらに,日本の国民皆保険制度は世界的にも類い希な制度であること,このまま米国発の高額な薬を輸入し続けていては日本の医療保険制度はいずれ破綻することは必須であること,適正価格で提供できるようにすべく国内での創薬・技術開発が望まれること,以上を特に強く主張されていらっしゃいました。
マラソンは元々趣味などではなく,資金集めの一環としてスタートしたものの,今となっては完全にライフワークとなり,なんと今年62歳にして自己ベストを更新!計算上では2060年(98歳)に2時間を切る予定とのことで,そのためにもiPS細胞のさらなる臨床応用が必要とのこと….笑。
iPS細胞を用いた臨床応用が世界中に安価でなされる時代が来るであろうことを確信できました!

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戦後80年

先々々週は,レーシックPTK(顆粒状角膜変性)〜硝子体手術(眼内鉄片異物)〜水晶体再建術(外傷性白内障・両眼同日・多焦点を含む)〜出張手術。
先々週は,水晶体再建術(両眼多焦点同日を含む)〜眼輪筋縫縮術(下眼瞼内反)〜眼瞼腫瘍切除術(黄色腫)〜結膜嚢部分形成術(眼窩脂肪ヘルニア)〜出張手術。
先週は,ICL近視矯正手術〜水晶体再建術(両眼同日・連続焦点を含む)〜出張手術。
今週は,お盆にて夏期休診のためオペなし。

昨年は,近隣の予科練平和記念館を見学
本年は,靖国神社を参拝(ついでに皇居も参観)。

皇居は外国人観光客ばかりで,幾度となく道を尋ねられ…笑。
一方,靖国神社は当然ながら日本人のみ。

やはりA級戦犯の合祀はダメですね!
私を含めて参拝者のほとんどは,A級戦犯以外の,日本国のために尊い命を捧げられた人々の御霊に拝礼しています。

さて,来年はどこに拝礼すべきかなと。

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Small Incision Lenticule Extraction (SMILE)

先々週は,水晶体再建術(両眼多焦点同日を含む)〜眼瞼下垂手術×5〜眼輪筋縫縮術(下眼瞼内反)。
先週は,ICL近視矯正手術×4〜硝子体手術×3(ERM・VH・PDR)〜水晶体再建術先天白内障術後IOL強膜固定・両眼多焦点同日を含む)。

Asia-Pacific Journal of Ophthalmology(APJOAmerican Journal of Ophthalmology(AJOとコラボし,「白内障と屈折矯正手術」に関する特別号を共同で発行。SMILE手術は,その優先トピックの一つに選ばれ,先日SMILE手術のコンセンサス・ガイドラインが公表されました。

Title:Controversies, consensuses and guidelines on Small Incision Lenticule Extraction (SMILE) by the Academy of Asia-Pacific Professors of Ophthalmology (AAPPO) and the Asia-Pacific Myopia Society (APMS).
DOI:10.1016/j.apjo.2025.100221
PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40588075/

私も共著者として,贔屓も批判もせず公平な視点から,各コンセンサス項目において strongly agree・agree・neutral・disagree・strongly disagree の5段階評価を行い,いくつかのコメントを述べさせて頂きました。
必ずしも一致しないDr間における見解の相違が,ありのまま掲載されています。
本邦において,今後SMILE手術がどのように普及するか,あるいは普及しないか….こればかりは予測不能ですねー。

今日はディーラーに出向き,エバポレーターの洗浄。出先で出来る仕事も多く,およそ1時間の待ち時間中に予定していた仕事は完了!
臨床医の仕事は外来診察やオペだけではありません。個人差がかなり大きいものの,常に最新の知識を習得し,自ら論文を執筆したり,共著論文の校正・査読・健診読影・介護審査資料のチェック等々…..まあ色々とあるわけです。

で,最近最も困るのは……ハゲタカジャーナルからのスパムメールを即削除していると,真っ当な海外雑誌からのお誘いを危うく削除する可能性があること!
上述のAPJOからの依頼も然り,今日もScientific Reports(Natureグループ)からの査読依頼を危うく削除するところでした…笑。

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紹介状の宛先

先々週は,レーシック硝子体手術 ×2(黄斑前膜・増殖糖尿病網膜症)〜水晶体再建術(両眼同日を含む)〜出張手術。
先週は,ICL近視矯正手術〜硝子体手術(黄斑前膜)〜水晶体再建術
今週は,ICL近視矯正手術 ×4〜硝子体手術 ×2(黄斑前膜)〜水晶体再建術(先天白内障術後IOL強膜内固定・両眼多焦点同日を含む)〜出張手術。

今週末は製薬会社主催の講演会にて新高輪に前泊予定でしたが,急用にて当日ドタキャン…残念。

本日は趣向を変えて,紹介状の宛先について。

他県へ転居となり,紹介先が決まっていれば良いのですが,紹介先が決まっていない場合:
患者さん:「転居することになり,紹介状をお願いします。」
医師: 「転居先で受診するクリニックは決まっていますか?」
患者さん:「いえ,まだです。」
医師: 「では,とりあえず宛先なしにしておきますね。お大事にどうぞ〜。」

なんて会話,ありがちですねー。
私も昔〜昔はこのような会話をよくしていましたが,実はこれ保険診療上はアウトなんです!

紹介先が決まっていない場合,の正解は….:
患者さん:「転居することになり,紹介状をお願いします。」
医師: 「転居先で受診するクリニックは決まっていますか?」
患者さん:「いえ,まだです。」
医師: 「宛先なしだと紹介状が自費で2,500円かかるので,受診先を決めてからの方がいいと思います。
患者さん:「えっ,そうなんですか? 今までも何回か転居していますが,言われたことなかったですけど…」
医師: 「知らないDrも多いんですよ,実は。待合室で少し考えてみてください。」
患者さん:「(待合室で少し検討してから)Aクリニックに決めました。」
医師: 「わかりました。必ずしもここに行かないとダメというわけではありませんが,紹介先はとりあえずAクリニックにしておきますね。これで保険適応OKですので。お大事にどうぞ〜。」

となります。
紹介状の費用は,保険3割負担なら750円,1割なら250円,自費なら2,500円(厳密に言えば,自費での紹介状費は自由設定)となるので,当然ながら宛先は決めた方がお得ですね。
勤務医の多くは知らず,開業医でも知らないDrは結構いると思われます。

でもなんで?そんなのどうでもいいのでは?という気もしますが….
お上が決めたことですので,こればかりは仕方ありませんね笑。

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TRYPTYR(トリプティル)点眼液

先々々週は,レーシックPTK(顆粒状角膜変性)〜硝子体茎離断術(裂孔原生硝子体出血)〜水晶体再建術(両眼多焦点同日を含む)〜出張手術。
先々週は,ICL近視矯正手術〜水晶体再建術(多焦点・レーシック後を含む)〜出張手術。
先週は,水晶体再建術(両眼多焦点同日を含む)〜前後転術(内斜視)〜出張手術。
今週は,ICL近視矯正手術〜硝子体手術(増殖糖尿病網膜症)〜水晶体再建術(両眼同日・多焦点を含む)〜眼輪筋縫縮術(眼瞼内反)。

先日,米国FDAにて,アコルトレモン0.003%点眼液(商品名  Tryptyrトリプティル,米国Alcon社)が,新規ドライアイ治療薬として承認されました。

動物実験では,メラスタチン8(TRPM8)受容体のアゴニストとして作用し,正確な作用機序は不明であるものの,三叉神経を刺激して基礎涙液産生を増加させることが示唆されています。

第3相臨床試験では,トリプティルを投与された患者は,対照薬と比較して,14日目に自然涙液産生量が10mm以上増加した患者は4倍!
さらに1日目という早い段階で統計的に有意な自然涙液産生を示し,重篤な眼の有害事象なし!

2025年後半に米国で発売開始される予定ですが,本邦ではもう少し先でしょうかね〜。

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