日別アーカイブ: 2025年9月14日

緑内障学会@神戸

先々々週は,前後転術(内斜視)〜水晶体再建術(両眼同日・多焦点を含む)〜出張手術。
先々週は,硝子体茎離断術(黄斑前膜)〜iStent inject W 挿入術(緑内障)〜水晶体再建術(両眼同日を含む)。
先週は,硝子体茎離断術(黄斑円孔)〜ICL近視矯正手術〜水晶体再建術(両眼同日を含む)〜出張手術。
今週は,硝子体茎離断術(黄斑前膜)〜ICL近視矯正手術〜水晶体再建術
皆さん経過良好です!

週末は緑内障学会に出席のため,16年ぶり3回目の神戸へ(昨年は姫路,来年は静岡!)。
1998年の臨眼(医師3年目;専門別研究会にて口頭発表),2009年の手術学会,そして今回。
主要学会での初演題は今思えば稚拙な内容でしたが,誰からの指示でもなく自らのアイデアだったため,結局その研究手法が5年後の学位取得につながりました。

今回興味深かった内容:
全眼球および部分顔面移植後の症例報告 ⇒ 生着はするも視覚回復は認められず(JAMA 2024)。
イーロン・マスク氏のNeuralink社が開発した視覚再生脳内インプラント(ブラインドサイト;Blindsight)はFDAから画期的医療機器(Breakthrough Device)と指定済。
⇒ ARVOで招待講演されるほど注目されているが,論文は皆無。侵襲性の高い臨床試験のため,通常であれば倫理的に問題視される可能性が高いが,マスク氏ならそこはなんとか…笑。
複数のSNP重複変異 ⇒ 緑内障発症のリスク↑↑↑
フラマー症候群とNTGに相関あり ⇒ やはり血流障害はよくない。生姜は血流改善効果あり!
白内障術後に眼圧(見かけ上の測定値)が下がっても,緑内障性視野障害は進行する。
⇒ 角膜ヒステレシス(角膜弾性)の変化により術後一過性に低い測定値となっているだけで,ヒステレシスが戻れば眼圧も元に戻る。当然ながら視野の進行は止まらない。
眼圧と脳脊髄圧との圧格差は緑内障の進行要因の一つ(拡張期血圧が低すぎるのも同様)。
⇒ 脳室シャント術後の低随圧で視野狭窄が悪化(過度の低随圧は要注意)。
ROTA(網膜神経線維層テクスチャ解析):正常眼データベースに依存しない!
⇒ 初期緑内障でも高率に乳頭黄斑繊維束欠損あり。
OCTAのFAZ(中心窩無血管領域)面積:DRのみならず緑内障でも有用。
MLTはSLTと比較し,術後一過性の眼圧上昇なし ⇒ 当院でも確認済。
緑内障術後眼瞼下垂の頻度:濾過手術後10%・チューブシャント術後20%以上(白内障術後3%)。

そして,山中伸弥先生の特別講演!
当日朝にヘルシンキから帰国したばかりとのことで,超多忙のなかでのご講演。
医師を志した理由・若くして他界した父へ何もしてあげられなかった無念さを,亡き父上の写真を投影しつつ語られ,そしてiPS細胞誕生からCiRAでの臨床試験の現状・iPS財団設立の理由などをユーモアを交えながら話されていました。
さらに,日本の国民皆保険制度は世界的にも類い希な制度であること,このまま米国発の高額な薬を輸入し続けていては日本の医療保険制度はいずれ破綻することは必須であること,適正価格で提供できるようにすべく国内での創薬・技術開発が望まれること,以上を特に強く主張されていらっしゃいました。
マラソンは元々趣味などではなく,資金集めの一環としてスタートしたものの,今となっては完全にライフワークとなり,なんと今年62歳にして自己ベストを更新!計算上では2060年(98歳)に2時間を切る予定とのことで,そのためにもiPS細胞のさらなる臨床応用が必要とのこと….笑。
iPS細胞を用いた臨床応用が世界中に安価でなされる時代が来るであろうことを確信できました!

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