Dysphotopsia

今週は水曜と木曜とでレーシック眼瞼下垂手術水晶体再建術両眼同日症例を含む)〜硝子体茎離断術糖尿病黄斑浮腫増殖糖尿病網膜症)。すべて経過良好です!
昨日はDME治療に関する依頼講演を行い,講演後は鮨処 修にて懇親会。金曜日でもあり予約で満席。相変わらず全品美味しく,前日の脱稿も手伝って気分良くお酒が進み,業界裏話で盛り上がり….おかげで今朝はひどい頭痛が…(^^;)

本日はDysphotopsiaについて。
白内障術後の患者さんが極々稀に「光が走る」「影が見える」などの症状を訴えることがあり,これらの一連の症状をDysphotopsia異常光視症)と呼びます。ほとんどの症例において手術は完璧で,にもかかわらず症状の原因が不明であるため,一次的な不定愁訴として解釈されてしまうことがあります。確かに一次的な場合も多いのですが,ず〜っと症状が取れない場合もあります。
DysphotopsiaにIOLの光学部エッジが関連しているとの指摘はあるものの,因果関係ははっきりしていません。IOLの素材は無関係・症状は縮瞳で増悪し散瞳で軽減する,との指摘もあります。

先月のJSCRS総会で,来日されたHenderson先生(ASCRSの次期会長)が非常に興味深い講演をされていました。Acceptされるであろう論文のrevise中とのことなので,簡潔に要点を述べると「瞳孔は角膜中央からやや下鼻側に偏位しているため,下鼻側の光学部エッジが問題である。IOL支持部の固定をある一定の方向に意図的に操作することで,Dysphotopsiaを有意に減少出来た。」ということでした。IOLの光学部は正円ですが,支持部との接合部は不整形であり,その形状はIOLによって様々です。乱視矯正IOLなど特殊な場合を除き,通常のIOL囊内固定においては,支持部の固定方向には特に注意を払わないのが一般的です。IOL支持部の方向を変えるとは….なるほど!
おそらく,かなり大きなCCC(前囊切開)とし,光学部径の大きなIOLを入れれば問題はないのでしょう。しかし,世界的にも6.0mm径のIOLが圧倒的なシェアを占めているため,Dysphotopsia予防を目的としてわざわざIOLの光学部サイズを変更するのは非現実的でしょうね。それよりも挿入IOLの固定位置を変えることは有用でかつ非常に現実的であると感じます。

2005年にDavid F. Chang先生(2012〜2013年のASCRS会長)は,前立腺肥大治療薬であるα1遮断薬でIntraoperative floppy iris syndrome(術中虹彩緊張低下症候群;IFIS)が引き起こされる,との初めての報告を行いました。その後の追試で関連が明らかとなり,今では明々白々の事実となっています。先に述べたDysphotopsiaの原因および対処法は,IFISの初報告と同じくらいの衝撃を受けます。両先生とも他とは異なる視点・新しい発想をお持ちのようで,さすがASCRS会長だと感服するばかりです。
新製品は規制の緩いEUからやってきますが,新発想はやはりUSAからなんですね〜。

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JSCRS総会印象記

今日は金曜日。午後からレーシック水晶体再建術硝子体茎離断術増殖糖尿病網膜症)の手術を施行。すべて滞りなく終了です。
JSCRS総会での講演も無事終わり束の間の休息…来週金曜のDME治療に関する講演の準備も…(^^;)。

今年度のJSCRS総会でも新しい治療法など非常勉強になりました。
興味深かった主な発表内容:
◆適応外ではあるものの、ICLを通常のIOL挿入眼にpiggybackとして挿入可能。
◆イタリアでの多焦点IOLは、もはや二焦点でなく、皆ほぼ三焦点IOLへシフト。
◆全層角膜移植前にマイクロ波(電子レンジと基本的に同じ)を照射し角膜を平坦化。その後フェムトセカンドレーザーで全層角膜移植(ジグザグPKP)。これにより術後前房深度が正常化。
◆全層角膜移植後にレーシックは可能。PRKはヘイズ(角膜混濁)を生じやすいのでレーシックを奨めるとのこと。
◆IOL挿入後の度数ずれ(refractive surprise)に対するエキシマレーザーでのtouch up(追加屈折矯正)。90歳代の症例にレーシックでのtouch upを行い術後経過良好とのこと。今後は100歳に対するレーシックもありうるとの座長のコメント!
◆2015年の国内レーシック症例に対する前向き研究の結果の発表。15,000例近くの膨大なデータです(当院のデータも含む)。英語投稿論文のco-authorに入る予定なので、あまり詳細は述べませんが、術後平均裸眼視力は1.4と非常に良好で、合併症もほとんどなし!

一年経つと、内容もどんどん進化しますね〜。また来年も楽しみです。

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第31回JSCRS学術総会

今日はエキシマレーザーの日。PTKレーシックを施行し、皆さん滞りなく終了です!

来週末の6/23〜6/25に、国立京都国際会館にて第31回JSCRS学術総会が開催されます。
JSCRS2016
外来と手術の合間での学会準備のため、なかなか辛いものがありますね〜(^^;)。
学会での詳細はまた後日報告させて頂きます。

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夜の天体観望

昨日は水晶体再建術脱臼IOL摘出毛様溝固定術眼瞼下垂手術を施行し、皆さん経過良好です!

さて、今宵は念願かなって「夜の天体観望」へ。筑波実験植物園で毎月第2土曜に開催されている人気イベントですが、雨天時は中止となり予約もすぐに埋まってしまうんです。
火星
梅雨に入り中止も覚悟でしたが、幸い天候に恵まれ、肉眼でも星座が確認できる程の夜空 ♪
天体ドーム内で説明を聞きながら、月・木星・火星・土星、さらに衛星を約200倍の倍率で次々に観測。先日スーパーマーズが話題となりましたが、2年後はさらに接近するためもっと大きくみえるそうです。

約2時間の締めは…正確な時刻と方角の説明のもと、ISS(国際宇宙ステーション)の肉眼観測!
飛行機とは異なる点滅しない光が急に現れ、すーっと移動しつつ、約1分程度でゆっくりと視界から消えました。これには参加者から大歓声。プラネタリウムもすばらしいですが、本物はさらに感動的ですね〜。

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備えあれば…

今日は金曜日。午後からレーシック水晶体再建術単焦点IOL・三焦点IOL・PTK後症例など)〜硝子体茎離断術黄斑前膜)の手術を施行し、すべて滞りなく終了。

先日の出張手術にて、久しぶりにCTR(水晶体囊拡張リング)を併用した症例がありました。手術顕微鏡を覗いた瞬間から水晶体がプルプルと揺れており…..よく観察すると切開創方向120度のチン氏帯断裂…..しかしCTRのおかげで無事に終了!
もしCTRがなかったら….水晶体全摘&IOL強膜内固定….プラス1時間は要します。
確率は非常に低いものの、CTRは出張手術の心強いお守りです!

食料なし・水道水のみ・暖房なし・しかも孤独…..何の備えもなく1週間弱…..無事保護された小学生の卓越したサバイバル能力にまさにあっぱれ!何はともあれ本当に良かったですね〜。

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Lampalizumab(ランパリズマブ)

昨日は様々な水晶体再建術単焦点レンズ三焦点レンズ脱臼IOL摘出毛様溝固定術)を施行。そして夜は毎年恒例の筑波大眼科教官(准教授もしくは講師)の懇親会に出席しました。レジデントと異なり、教官スタッフは臨床・研究・教育とかなりのストレスが負荷されます。その職に就いたものにしかわからない労をねぎらい、情報交換を行う事が主目的の懇親会です。今回も公では話す事が出来ない話題で盛り上がり、非常に有意義な時間を過ごせました。

本日は萎縮型加齢黄斑変性(dry AMD)の治療について。
加齢黄斑変性の患者数は全世界で推定1億3,500万人(2014年)とされ、米国では50歳以上の人の失明原因のトップです。日本でも急速な高齢化や生活様式の変化などのため、この病気に伴う視力障害者が急増しています。加齢黄斑変性の約90%を占めるドライ型は、病気が進行すると黄斑網膜が加齢とともに萎縮(地図状萎縮)してくるものです。萎縮の進行は遅く、ゆっくりと視力が低下していくのが特徴です。地図状萎縮は時間が経過するほど病変部が拡大していくため、その進行をいかに早期に抑制できるかが鍵となります。現時点で「萎縮型」に対する有用な治療法はありませんが、米国ではいくつかの薬剤の開発が進行中です。ここではFDAに承認されそうな薬剤について。

それはLampalizumab(ランパリズマブ)という抗補体因子D抗体フラグメントで、世界最大手のロシュ社が開発しています。下記抗VEGF薬と同様な硝子体注入薬で、海外臨床試験では18ヶ月で地図状萎縮病変進行を20%抑制する効果が確認されています。

滲出型に地図状萎縮を伴う症例も散見されるため、抗VEGF薬や抗PDGF薬との併用療法なども検討されることになるでしょう。治療の選択肢が増えることは非常に喜ばしい限りであり、数年後を目処に双方の薬剤とも国内認可されることを期待したいですね。

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休日に受講…

今年度より国産CTRの材料費が保険収載されたものの、講習会を受講しないと使用不可とのことにて、本日はその受講のため都内へ。実際にはドイツ製CTRの在庫がたくさんあるのですが…
年間1,000例程度の国内出荷予想とのことなので、年間全白内障手術件数の0.05〜0.1%程度となり、年間1〜2例の自己統計はおよそ正確であることが確認できました。約2時間弱の聴講でしたが、遅刻厳禁・途中退出不可と超厳戒…しかし早々に船を漕いでいる方もちらほらと…これでは全く意味がないのでは…(^^;)。時代的には、web聴講で最後に簡単なマークシート問題、などが最も有効かつ合理的かと強く感じましたね〜。寄り道をもくろんでいた若冲展は超激混みのようなので断念…次はいつ見れることやら…

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フォビスタ(fovista、抗PDGF薬)

今週はレーシック白内障手術水晶体再建術)を施行し、皆さん経過良好でなによりです!

本日は抗PDGF療法について。
滲出型加齢黄斑変性(wet AMD)や糖尿病黄斑浮腫(DME)に代表される眼内血管新生疾患には眼内VEGF(血管内皮増殖因子)の発現増加が大きく関わっていることは周知の事実であり、現在は多くのクリニックで抗VEGF薬(ルセンティス・アイリーア・マクジェン)の硝子体注入が受けられるようになりました。スーパールセンティスとの呼び名もあるRTH258のいう強力な抗VEGF薬の臨床試験も海外では進行中ですが、国内臨床にはもう少し時間がかかりそうです。一方、眼内新生血管の成長にはVEGFのみならず、血管周皮細胞の成長を促すPDGF血小板由来成長因子)も強く関与していることが示唆されています。

抗VEGF療法は非常に有効ですが、稀に無効の症例にも遭遇します。また最初は有効であった症例でさえ、硝子体注入を繰り返していると耐性が生じ、徐々に効きが悪くなってくることがあります。そのような症例に朗報の新薬がフォビスタfovista)というPDGF阻害薬です。まだ開発段階ではありますが、wet AMDに対する海外臨床試験においては、ルセンティスとの併用で高い相乗効果が認められています。早ければ2016年中にFDAに承認される予定であり、FDAで承認されれば日本国内では治験遂行なしで追加承認される可能性もあります!

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iStent国内承認

今週は4日連続のオペ。レーシック眼瞼下垂白内障硝子体手術黄斑円孔)と内容も多岐。当院での手術を希望され県外から受診される患者さんもいらっしゃいます。明日の患者さんも然り。その期待に応えるよう頑張ります!

Shunt deviceを用いたMIGSmicro-invasive glaucoma surgery)について、このブログでもたびたび触れています。数あるdeviceのなかでも、日本国内で認可が得られているものはEx-PRESSTrabectomeだけでしたが、なんと2016/3/25にiStentの国内承認が得られました!

iStentiSyent2

シュレム管に挿入する世界最小(全長約1mm)のチタン製shunt deviceであり、injectorに最初からpreloadされているためリリースも容易です。複数個の挿入も可能であり、挿入数に比例した眼圧下降効果が得られます。2012年にFDAでの承認を得ており、非常にsimpleな手術操作が高く評価され、今後world wideで使用されることは確実です。

驚くべきは承認のスピード!Ex-PRESSにおけるFDAと厚労省承認との差はおよそ10年でしたが、iStentにおいては4年と非常に短縮。国内治験は行われていないので、審査の厳しいFDAの結果を信頼してのことでしょう。FDAの承認状況を伺いつつ、国内では無駄なコストを削減。医薬品だとちょっと怖い気もしますが、医療機器でのこの承認スピードは大事ですね〜。

まだ承認されただけなので、手術材料としての保険収載などは全く未定です。おそらく講習などを受講しての登録制となるのでしょう。4年前に個人輸入を試みましたが実現できなかった経緯があるので、取扱可能となれば使用してみたいと思います。

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0.01%アトロピン点眼

本日は子供の近視進行を抑制する目薬について。
約2年前に有用な近視進行抑制法は?を書きました。その際に低濃度アトロピン点眼は有用(かもしれない)と紹介しましたが、長期データの信憑性が高まりつつあります。
非選択性ムスカリン作用を持つアトロピンは、眼軸長延長の抑制作用や毛様体弛緩作用による調節の遮断などの近視進行を抑制することは古くから知られていました。その一方で、国内でも検査薬として認可されている1%アトロピンでは調節麻痺作用も現れるため学童期への使用には懸念がありました。シンガポールの臨床研究にて0.01%アトロピン点眼の近視進行抑制における有用性が証明され、日本国内でも追試が進行中です。
0.01%アトロピンこれまでの検査用1%アトロピン点眼薬は、顔のほてり・日中の眩しさ・手元のみづらさなどの副作用が強かったのですが、100倍希釈の0.01%ではこれらの症状は認められません。また近視の進行を平均60%軽減させるとのことなので、同効果が約30%のオルソケラトロジーと比較すると、さらに強い近視進行軽減が期待されます。
効果に人種間の相違は考えにくいので、いずれ国内治験でも同様の結果が報告されることでしょう。古くて安価な薬なので、近視進行防止薬として急速に普及することは確実と思われます。

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