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Lanosterol(ラノステロール)

先週火曜は出張白内障手術(鉾田病院)。
水木でレーシック水晶体再建術(EDOFトーリック・両眼同日を含む)。
今週火曜は出張白内障手術(笠間眼科)。
木曜はICL近視矯正手術〜水晶体再建術(EDOFを含む)。
皆さん経過良好です!

本日はLanosterol(ラノステロール)について。
水晶体は主にクリスタリンタンパク質で形成されており、水晶体タンパク質間の相互作用が破壊され凝集すると白内障が発症します。これまでに水晶体の透明性を維持する内科的治療法は確立されておらず、現在の唯一の根本治療は混濁水晶体の外科的除去(水晶体再建術)のみです。
Lanosterol(ラノステロール)はラノステロール合成酵素(LSS)よって生成され、元々水晶体に多く含まれている物質です。海外の先天白内障2家系においてLSS遺伝子に点突然変異が確認され、ラノステロールのin vitro実験(摘出水晶体に高濃度で浸透)ではウサギ白内障の重症度が改善し、同薬のin vivo実験(高濃度硝子体注射)ではイヌ白内障の重症度が改善したとの報告がなされました(Nature523:607-611, 2015)。

「白内障は手術しなくても治る時代が来るかも?」とNature誌に発表されたのです。
しかし…..論文での手法は眼内注射ですし、そもそも点眼薬にするのはとても難しい薬剤ですから、実用化は難しいだろうと囁かれていました。論文発表からもうすぐ3年…..各国で追試が行われているものの、再現実験がうまくいっていないようです。海外ではなぜかペット犬の白内障への点眼薬として市場に出ているようですが……?

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