月別アーカイブ: 2015年6月

エキシマレーザーによる治療的角膜切除術(PTK)

本日は、エキシマレーザーによる治療的角膜切除術Phototherapeutic KeratectomyPTK)について。
PTKとは、何らかの原因による眼の表面(角膜)の混濁に対し、エキシマレーザーを照射することで、角膜の表層から実質の一部を切除する手術のことです。角膜の濁りをすべて除去するわけではなく、視力に影響している部位の混濁を除去します。裸眼視力を良くするための治療ではなく、矯正視力の向上を目的とします。不正乱視が残る場合、レーザー屈折矯正手術の追加が必要になる場合もあります。
重篤な術後合併症はありませんが、レーザーで角膜上皮を剥離するため、術後に痛みがあります。よって上皮が再生されるまでの約1週間は、PRKと同様にコンタクトレンズを装着します。
下記に実例を供覧します。

帯状角膜変性①の術前と術翌日
PTK左ー術前PTK左ー1POD

帯状角膜変性②の術前と術翌日
PTK右ー術前 PTK右ー1POD2

劇的に改善しているのが一目瞭然ですね。エキシマレーザーを有している当院ならではの治療といえます!

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3焦点眼内レンズ(Trifocal IOL)

今週はレーシック〜眼瞼下垂手術〜白内障手術〜硝子体手術と多岐にわたり執刀しましたが、皆さん非常に経過良好で何よりです。

本日は最新の眼内レンズ(IOL)について。先進医療適応の白内障手術で用いられるIOLは、正確に言えば2重焦点(遠方と近方)のIOLです。実際にさほど自覚する方は多くありませんが、理論上は中間距離(2~3m先)はぼやけて見えることになります。
IOLの特性上、焦点を増やせばそれだけエネルギーロスとなり、つまりはコントラスト感度が低下することになります。近年、エネルギーロスが現行の2重焦点IOLと同等であるにもかかわらず中間距離の視力も良好な3焦点IOL(Trifocal IOL)がヨーロッパで発売され、日本でも広まりつつあります(Finevision, physIOL社)。FineVision_large
JSCRS総会でのこのIOLに関するセミナー会場はほぼ満席であり、注目度の高さが窺えます。

術後炎症惹起の問題にて、国内で最も使用されていたAlcon社製ReSTOR(レストア)は2015年4月中旬以降使用不可の状況です。そのため、厚労省未承認にもかかわらず、このような他の多焦点IOLにさらなる注目が集まっています。

日本で承認されている乱視矯正機能付き多焦点IOL(多焦点トーリックIOL)は、唯一ReSTOR Toric(レストアトーリック)だけです。よって乱視矯正も必要で多焦点IOLを希望の患者さんには、現状では未認可のIOLを海外から輸入することになります。このFinevisionにはトーリックIOLもline upされており、患者満足度も非常に優れているようなので、当院でも近々に使用開始することにしました。ご報告まで!

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JSCRS総会

先週金曜から3日間、東京国際フォーラムにて第30回JSCRS学術総会が開催されました。
初日午後はオープンフォーラムでの講演を担当し、日本と欧米との白内障屈折矯正手術の現状の相違について、壇上にて約1時間のdiscussion。
英語でのスライド準備が大変でしたが、ASCRS・ESCRSのpresidentと一緒に登壇できることはこの上なく光栄に感じています。

夜は会長招宴(closed faculty dinner)に招待頂き出席を。大学同窓の先輩にもお会いできて、有意義な時間を過ごせました。
医療は日々進化しており、1年前のトレンドはもうすでに過去のものです。常に自ら切磋琢磨しなければいけません。面白い内容の発表もありましたが、詳細はまた後日に。

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角膜厚と眼圧

本日は角膜厚と眼圧の関連について。

眼圧は緑内障の診断および経過観察には必須の検査項目です。眼圧は測定するたびに微妙に変化し、また日内変動や体位変動などもあります。
さらに見かけ上の眼圧測定値は、角膜生体力学的特性によって大きく左右されます。端的に言うと、角膜が厚ければ眼圧は高く評価され、角膜が薄ければ眼圧は低く評価されることになります。個々の角膜厚による眼圧補正式も存在しますが、これまで広く普及するには至っていませんでした。
しかしながら、角膜厚による眼圧補正の重要性の認識が徐々に高まり、最近では実測値と補正眼圧値の双方を表示する眼圧計も登場しています。
下記に角膜厚と補正眼圧のおよその相関を示します。
IOPとCCT

LASIKなどの屈折矯正術後に眼圧が過少評価されることは以前より指摘されていました。例えば、LASIK術後中心角膜厚が420umの患者さんの眼圧測定値が9mmHgの場合、補正は+6で補正眼圧はおよそ15mmHgということになります。
次に、実測眼圧値がいつも10mmHg程度と良好にもかかわらず視野欠損が進行する正常眼圧緑内障の仮想症例。角膜厚を計測してみると400umと薄く、補正眼圧はおよそ17mmHg。とすると実はもっと眼圧を下げるように点眼薬を工夫しなければならない症例、ということになります。
さらに、人間ドックで毎回「要精査」を指摘され、実測眼圧値がいつも25mmHg程度の高眼圧仮想症例。しかし視神経乳頭に緑内障性異常を認めず。角膜厚を計測してみると660umと厚く、補正眼圧はおよそ19mmHg。とすると眼圧は正常上限であり、視神経乳頭に全く異常を認めないのであれば、そのまま経過観察で問題ない症例、ということになります。
いずれも極端な仮想ではありますが、実際に起こりえると考えられるので、角膜厚がいかに重要かがわかりますね。

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第30回JSCRS学術総会

最近殊に忙しく、久々のブログ更新です。
来週末の6/19〜6/21に、東京国際フォーラムにて第30回JSCRS学術総会が開催されます。

2015JSCRS サトウ1

外来や手術の合間での学会準備のため、なかなか辛いものがありますね〜(^^;)。
学会での詳細はまた後日報告させて頂きます。

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