添付文書

先週は硝子体茎離断術(裂孔原性網膜剥離・増殖糖尿病網膜症)〜水晶体再建術
今週は硝子体茎離断術(裂孔原性網膜剥離・黄斑前膜)〜水晶体再建術
いずれも経過良好です。

今週末は網膜硝子体学会へ出席するため有楽町の国際フォーラムへ。
網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)の治療、そして抗VEGF薬硝子体注射の合併症のセッションを興味深く拝聴しました。
BRVOに伴う黄斑浮腫の治療法としての第一選択が抗VEGF薬硝子体注射であることは統一された見解だと思います。しかしこれをいつまで継続するのか……BRIGHTER試験ではレーザー併用の有無は視力予後に影響を与えないとされます。しかし、抗VEGF薬だけでは何年経っても再発を繰り返す人も少なからずいますし、長期的な医療費削減という意味でも局所レーザー併用の手間を惜しむべきではないと考えます。

また、硝子体注射の反復は細菌性眼内炎のリスクを増大させます。最近では、術前点眼も滅菌ドレープもせず、患者にマスクを装着させ、ヨウ素系洗眼殺菌剤を眼瞼内にたっぷりと浸した状態で注射を行う施設もあるようです。要は注射をするまさにその瞬間を無菌状態とすることが重要なので、この方法でもおそらく大丈夫なのでしょう。

会場の質疑応答でも述べられていましたが、問題は添付文書です。
アイリーアの添付文書を例にすると……
・硝子体内注射は、無菌条件下で行うこと.(手術用手指消毒を行い、滅菌手袋、ヨウ素系洗眼殺菌剤、滅菌ドレープ及び滅菌開瞼器等を使用すること.)
・本剤投与前に、十分な麻酔と広域抗菌点眼剤の投与を 行うこと.(広域抗菌点眼剤は本剤投与 3 日前から投与後 3 日まで投与すること.)
と明記されています。

添付文書を無視して何か問題が起きた場合、弁解の余地はないでしょう。
抗菌薬の汎用に伴う耐性菌の増加も問題ですが、添付文書が改訂されるまでは、当院では3日前からの抗菌薬点眼および滅菌ドレープを当面継続したいと思っています。

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