緑内障手術」カテゴリーアーカイブ

MLT

今週水曜は硝子体茎離断術(裂孔原性網膜剥離・黄斑前膜)〜水晶体再建術
金曜も硝子体茎離断術(黄斑前膜)〜水晶体再建術(二焦点・トーリックを含む)。
皆さん経過良好です!

年の瀬は何かと忙しく、久しぶりの更新です。
以前、黄斑浮腫に対するマイクロパルス閾値下レーザーについて書きましたが、本日はマイクロパルスレーザー繊維柱帯形成術MLT:MicroPulse Laser Trabeculoplasty)について。

点眼薬のみでは眼圧下降が不十分な緑内障に対し、濾過手術を行う前に選択的レーザー線維柱帯形成術SLT)が行われる場合があります。
しかしながら、
①専用のレーザー装置が必要(しかも高額)
②線維柱帯を意図的に破壊するため、術後に急激な眼圧上昇を起こす症例もある
③徐々に眼圧が再上昇し、再治療が必要となる場合が多い
などの理由から賛否両論あり、一般的普及には至っておらず、点眼薬で不十分な場合にはすぐに濾過手術が行われることも少なくありません。

一方、MLTは、
①網膜光凝固用のマイクロパルスレーザーと併用可能であり、新たな装置を必要としない
②熱効果であるため、線維柱帯細胞を破壊しない
③眼圧が再上昇しても、何度でも追加施行が可能

濾過手術を上回る効果が得られないのは当然ですが、点眼薬の次の一手としてはいいでしょうね。当院ではTOMEY製IQ577レーザー(マイクロパルスモード搭載)を採用しているので、MLTの効果を早速検証してみたいと思います。

来週はレーシック硝子体茎離断術(糖尿病硝子体出血・黄斑前膜)〜水晶体再建術の予定。
頑張ります!

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3Dヘッドアップサージェリー

11/3〜6は京都にて第70回日本臨床眼科学会が開催。専門学会ではない臨眼には通常あまり出席しないのですが、dutyの併催会議に出席するため、1泊2日で京都へ。臨眼は広く浅く万遍なく、にもかかわらず参加者は総勢8,500名以上にて数字上は盛況、さすが京都です。さほど寒くはないものの、ハードスケジュールのため東寺の夜間特別公開への参拝もかなわず…..紅葉の時期もあって京都はいつにも増して混雑していました。

今回のトピックは「3Dヘッドアップサージェリー」でしょう。白内障や網膜硝子体手術などの内眼手術において、通常は眼科手術専用顕微鏡を覗きながら行います。3Dヘッドアップサージェリーとは、顕微鏡を覗かず、専用メガネ装用下にて巨大3Dモニターを見ながら行う手術のことです。
3d利点:
①オペ室内のスタッフ全員で同じ3D画像を共有できるので、研修医の教育には特に有用。
②解像度が非常に高く、顕微鏡よりも鮮明(色調の変更も可能)。
③顕微鏡手術ならではの頸椎への負担が軽減。
欠点:
①大きなモニターを設置するスペースが必要。
②3Dメガネによる術後眼精疲労。
③硝子体手術は良い適応だが、グレアのため白内障手術ではやや見づらい。

現時点ではまだ改良の余地がありそうですが、他科ではモニターを見ながらの内視鏡下手術が一般的であり、眼科でもモニター手術、さらに遠い将来にはダヴィンチオペ、の流れになるかもしれません。

その他、個人的に興味をもった内容:
◆近々発売されるミケルナ(カルテオロール&ラタノプロスト配合)抗緑内障点眼薬。チモロールと異なり、薬剤耐性が少ない可能性あり、長期的にはより有用。
◆斜視に対するボトックス注射。通常の斜視では効果が切れる度に幾度も再投与が必要だが、乳児内斜視には非常に有用。
◆アイファガン(ブリモニジン)点眼により、緑内障性乳頭出血が有意に減少。
◆臨床研究の倫理的諸問題。今後さらに規制が強化され、カルテベースの後ろ向き調査でも承諾書が必要になるかも…そんなことになったら臨床研究が出来なくなりますが…。
佐藤正樹 眼科 つくば ICL
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開院3周年

今週火曜の夜は研究学園医療懇話会の座長。
水曜は硝子体茎離断術(増殖糖尿病網膜症症例、黄斑前膜症例)〜水晶体再建術
昨日金曜は水晶体再建術二焦点を含む)〜瞳孔形成術
ちょっぴり疲れ気味ですが、皆さん経過良好でなによりです。

本日は土浦の花火の日!%e5%9c%9f%e6%b5%a6%e8%8a%b1%e7%81%ab
ビルの屋上にて、肌寒くブルブルと震えながらの見物…。
それよりなにより、本日は開院3周年記念日!
昨日9月末で、診察券番号22814を発行しました。つまり3年間でカルテが2万2千冊以上になったわけです。電子カルテなのでどんなに増えても場所には困りませんが…(^^;)。

来週も手術が盛り沢山。これからも引き続き、三焦点プレミアム白内障手術硝子体手術レーシックICL手術緑内障手術眼瞼下垂手術斜視手術抗VEGF療法オルソケラトロジーなどなど、最先端かつ最良のテーラーメイド医療を提供し続けます!
佐藤正樹 眼科 レーシック ICL 
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MIGS角逐

今週はレーシック水晶体再建術三焦点を含む)を施行し、皆さん経過良好です!

この連休は第27回日本緑内障学会総会にてパシフィコ横浜へ。
MIGSに関する講演はさほど多くなく、昨年と状況は大きく変わっていない印象を受けました。iStentは国内でも認可されたものの、保険適応には大きな縛りがあります。
①白内障手術との同時手術。
②保険適応は1個のみ(2個以上留置する場合はクリニック側の持ちだし)。
どの学会が主導しているのかはっきりしないのですが…白内障との同時手術に限定されているので、主導は緑内障学会?JSCRS?あるいは日眼? 緑内障学会とJSCRSとが一緒に主導するのが本来の姿かと…。

米国では、
XEN Gel Stent (Aquesys社→アラガン社が買収)
InnFocus Microshunt (InnFocus社→参天製薬が買収)
Cypass Micro-Stent (Transcend Medical社→アルコン社が買収)
など、MIGS専用の様々なdeviceの臨床試験が行われています。また、Glaukos社は iStentに加えiStent Supraも臨床試験中です。まだFDAの承認は得られていませんが、脈絡膜上腔へと房水を導く点ではCypassとほぼ同様であり、今後が期待されます。
主要メーカーによる企業買収(例えば参天製薬はInnFocus社を240億円で買収)からもMIGSへの市場の期待の高さが窺えますが、これらのすべてが生き残るとは考えにくく、今後熾烈な争いとなるのは必至です。

3連休の中日にもかかわらず非常に多くの参加者でした。プログラムは3日間みっちりと…最終日のお昼はフェアウェルセミナーの場合が多いのですが、12時〜最終シンポジウムとは恐れ入りました。緑内障学会は少し地味な印象がありますが、これが本来あるべき学会の姿なのでしょうね。
佐藤正樹 眼科 つくば レーシック ICL 硝子体手術 白内障 緑内障 オルソケラトロジー
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iStent国内承認

今週は4日連続のオペ。レーシック眼瞼下垂白内障硝子体手術黄斑円孔)と内容も多岐。当院での手術を希望され県外から受診される患者さんもいらっしゃいます。明日の患者さんも然り。その期待に応えるよう頑張ります!

Shunt deviceを用いたMIGSmicro-invasive glaucoma surgery)について、このブログでもたびたび触れています。数あるdeviceのなかでも、日本国内で認可が得られているものはEx-PRESSTrabectomeだけでしたが、なんと2016/3/25にiStentの国内承認が得られました!

iStentiSyent2

シュレム管に挿入する世界最小(全長約1mm)のチタン製shunt deviceであり、injectorに最初からpreloadされているためリリースも容易です。複数個の挿入も可能であり、挿入数に比例した眼圧下降効果が得られます。2012年にFDAでの承認を得ており、非常にsimpleな手術操作が高く評価され、今後world wideで使用されることは確実です。

驚くべきは承認のスピード!Ex-PRESSにおけるFDAと厚労省承認との差はおよそ10年でしたが、iStentにおいては4年と非常に短縮。国内治験は行われていないので、審査の厳しいFDAの結果を信頼してのことでしょう。FDAの承認状況を伺いつつ、国内では無駄なコストを削減。医薬品だとちょっと怖い気もしますが、医療機器でのこの承認スピードは大事ですね〜。

まだ承認されただけなので、手術材料としての保険収載などは全く未定です。おそらく講習などを受講しての登録制となるのでしょう。4年前に個人輸入を試みましたが実現できなかった経緯があるので、取扱可能となれば使用してみたいと思います。

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