ディスレクシア(dyslexia)

今週火曜は出張白内障手術(鉾田病院)。
水曜はエキシマレーザー角膜表層切除術(アベリノ角膜変性・顆粒状角膜変性)。
木曜は水晶体再建術(EDOFを含む)〜LRI(乱視矯正角膜周辺部切開)〜瞳孔形成
いずれも経過良好です。

私は市内3校の学校医を担当しています。先日、ディスレクシアにおける国内第一人者の講演が拝聴できるとのことで、学校医の勉強会に出席してきました。
正式にはdevelopmental dyslexia発達性読み書き障害)と呼ばれるそうで、トム・クルーズやスティーヴン・スピルバーグが自ら公表することで有名となった疾病です。

なんと日本の小学生の8%が該当するとのことなので、これまで見つからずに埋もれてきた児童がたくさんいるのでしょう。授業での朗読は難しいので、丸暗記して授業に臨んだり、自ずと何らかの対策を学習し乗り越えてきた人達も少なくないようです。また、診断書さえあればセンター試験での試験時間を1.3倍に延長可能とのこと。
原因は先天性の異所性灰白質(本来あるべき部位とはわずかに異なる部位に脳神経細胞が誘導されている)。ADHD(注意欠陥・多動性障害)やASD(自閉スペクトラム症)とオーバーラップすることもあり、ADHD児童の少なくとも20%はディスレクシアも併発。

先天性ですから完全に治すことは難しいと思われますが、早期介入により格段に良くなる例も少なくないようです。
学校での対策としては、
・目の不自由な児童がいると想定して授業を行う。
・必ず音読しながら、繰り返し口頭で説明する。
・漢字の宿題は出来るだけ避ける、などなど…。
さらにスクリーニングとして、就学時健診でひらがな10文字を読ませる(つくば地区ではすでに導入済み)。読めなければ「疑い」として訓練することで、「疑い」児童の8割は改善。

学校医の勉強会なので、積極的な対処法(音声変換ソフトなど)は拝聴できませんでした。
介入にても改善が得られないような難症例に限っては、音声変換機器を積極的に併用してもいいのでは? 臨床医としてはそう感じました。
眼科学からやや外れる分野ではありますが、非常に勉強になりましたね〜。


週末はアイリーア発売5周年記念講演会出席のため高輪へ。
アイリーアは他の抗VEGF阻害薬と異なり、VEGF-A、VEGF-B、PIGF、ガレクチン-1のすべてを阻害する(当然ながら他より強力)。
PIGF・ガレクチン-1の増減はVEGFの増減と相関せず(VEGFとは別に独立した機序?)。
DMEでは最大矯正視力に達するまで非常に時間がかかる(硝子体注射を継続する必要性大)。
初期治療後の視力が最終視力と強く相関(早期治療開始が非常に重要)。

こちらもとても勉強になりました!

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