白内障手術」カテゴリーアーカイブ

開院10周年

先週は,レーシック×6〜ICL近視矯正手術×4〜PTK(帯状角膜変性)〜水晶体再建術(両眼同日・連続焦点トーリックを含む)〜出張手術(鉾田病院)。
今週は,ICL近視矯正手術×4〜水晶体再建術(両眼同日・連続焦点を含む)。
皆さん経過良好です。

本日,開院10周年を無事迎えることが出来ました!
開院後10年間で5万8千人弱(診察券番号57952を昨日発行)の新規患者様にご来院頂き,本当にありがたく,受診されたすべての患者さまに対し心から感謝申し上げます。

当院における 過去10年間での総手術件数 8, 963 件 (出張手術を含まず)。
最近は術後患者さんからの直接紹介も多いためか,両眼白内障の患者さんの約8割は両眼同日手術を希望されます!

10年….長いようであっという間ですね〜。
筑波大→関連病院→筑波大→関連病院→当院のように勤務医時代から20年以上にわたり診察させて頂いている患者さま,また定期受診時にお手紙を直接頂く患者さまもいらっしゃいます。県南地域のみならず,水戸・日立・北茨城・鹿行・福島・栃木・千葉など,遠方から定期的に受診して頂いている患者さまも少なくありません。改めて感謝申し上げます。

眼科に限らず「△△病院で手術をした」のような既往歴はよくありますが,「執刀した先生は誰ですか?」と聞くと,「あ〜…ちょっと覚えていないですねえ…」と。
一方で「◎◎先生に切ってもらった」と明確に覚えている方もいます。これはまさに医者冥利に尽きるわけで,後者のようなしっかりと記憶に残る医師でありたいと常々思っています。

保険診療と自由診療とでは患者さん側の捉え方が大きく異なることが多いものの,眼にメスを入れるという医療行為に違いはありません。
鬼手佛心を所信とし,今後も 個別化屈折矯正手技ICLレーシックオルソケラトロジー)〜プレミアム白内障手術硝子体手術(MIVS)〜緑内障手術(MIGS)〜眼瞼下垂手術斜視手術抗VEGF療法など,最先端かつ最良のテーラーメイド医療を提供し続ける所存です!

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PrismGuide IRD パネルシステム

今週は,ICL近視矯正手術×4〜レーシック水晶体再建術(両眼同日を含む)〜翼状片切除術〜出張手術(笠間眼科)。
皆さん経過良好です。

昨日は,①PrismGuide IRD パネルシステムの保険収載,および②ルクスターナ治療の実際,に関するweb講演会にてお勉強。

PrismGuide IRD パネルシステム(シスメックス):
遺伝性網膜ジストロフィ(IRD:Inherited Retinal Dystrophy)に対する遺伝子検査がいよいよ保険適応となりますが,対象は,以下の特徴的な臨床所見を有する「RPE65 遺伝子変異によるIRDが疑われる症例のみ」に厳しく規制されています。
A. 常染色体潜性(弧発を含む)の遺伝形式が疑われる
B. 学童期までに発症した重度の夜盲,および視力低下
C. 全視野網膜電図の低下または消失

予定検査施設数は10 施設程度(想定年間検査数は200 件程度)とかなり少なく,検査施設の基準のうち,なかでも「遺伝学的検査の対象となる疾患についての診療実績を有する」とあるので,茨城県内では難しいかもしれませんね。

保険適応はあくまでRPE65遺伝子異常が疑われる重症例のみですが,このパネルシステムはIRDの代表的な82種の遺伝子すべてを同時に検査できるので,RPE65以外の遺伝子変異が見つかる可能性もあります。
実は私,昔〜昔〜レジデントの頃,IRDの遺伝子変異を調べていた時期があり,この82種のうちのRS1とRDH5遺伝子の新規変異について,それぞれ海外雑誌にて英語論文を書いています。その他の複数の遺伝子に関しても実験しましたが,当時はダイレクトシークエンス法が全盛でしたので,遺伝子が大きすぎると非常に手間がかかり,さらには変異が見つからず……ということもしばしば。今は次世代シークエンサーを用いて網羅的に検査できますから,すごいですよね〜。

ルクスターナ(ノバルティスファーマ):
RPE65網膜ジストロフィは,強い夜盲・網膜形態の温存(色素沈着なし)・自発蛍光の消失・ERGの低下を認め,構造と機能の乖離が発見の鍵。乳児期から何らかの症状を訴えることも少なくなく,約半数が成人までに社会的失明に至ります。

そして,眼科領域では初の遺伝子治療薬となるルクスターナ注(一般名:ボレチゲン ネパルボベク)が,この「両アレル性RPE65 遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィ」に対する治療薬として国内承認されました。
1997年にヒトでRPE65変異が発見され,すぐにルクスターナは開発されたようです。2007年に海外第 Ⅰ 相試験,2012年に海外第 Ⅲ 相試験が開始され,2017年にFDA承認,2018年にEU承認。2020年に国内第 Ⅲ 相試験が開始され,2023年にPMDA承認。
RPE65遺伝子を搭載した組換えアデノウイルスベクター薬で,各眼の網膜下に単回投与(再投与なし)。網膜色素上皮細胞に感染することにより,RPE65遺伝子が長期間安定して発現し,RPE65タンパク質により正常な視覚サイクルを回復させることで,視覚機能の改善が期待されます。

気になる薬価は,片眼で1本4,960万円,両眼で2本9,920万円,つまり患者1人当たり1億円弱,まあ予想通りではありますが….。
市販後調査は5年間,目標症例数は15例…..かなり稀なので,薬価が高いのも頷けますね。

まだまだ時間はかかると思われますが,RPE65のみならず,治療の対象となる遺伝子がさらに追加されることが期待されます。

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緑内障学会

先週は,レーシックPTK(顆粒状角膜変性)〜硝子体茎離断術(増殖糖尿病網膜症)〜水晶体再建術(両眼同日・連続焦点トーリックを含む)〜出張手術(鉾田病院)。
今週は,ICL近視矯正手術〜水晶体再建術(両眼同日・連続焦点トーリックを含む)〜眼瞼下垂手術。
皆さん経過良好です。

今週末は第34回日本緑内障学会。
金曜土曜は虎の門ヒルズにてrealで,日曜は自宅からonline liveにて拝聴。

今回のハイライト:
須田記念講演
・アルツハイマー病は第3の糖尿病
・緑内障は第4の糖尿病!
乳酸には神経保護作用あり。
メトホルミン(肝臓で糖新生を阻害)投与 ⇒ 内因性の乳酸 ↑ ⇒ 神経保護
メトホルミン内服中のDM症例では緑内障性視神経症が有意に少ない!

落屑緑内障
・コレステロール代謝に関与するCYP39A1遺伝子のG204E変異 ⇒ 重症化しやすい

マイクロフック流出路再建術(眼内法)
・眼圧下降効果;S-LOT ≒ マイクロフック ≒ iStent
・術前にROCK阻害薬(主経路に作用)使用の症例は,他の薬剤と比較し有意に有効
(主経路を拡げておかないと廃用性萎縮で有用性が低下する!)

マイクロシャント(参天)が今月正式発売:
・講習会受講が必要なライセンス制
・眼圧下降効果;マイクロフック<マイクロシャント<レクトミー
・落屑緑内障では成績不良 ⇒ 決して万能ではなく過度な期待は禁物!

★国産ECP(内視鏡的毛様体光凝固)が承認発売:
・グリーンレーザー対応にて高い汎用性
・内視鏡付き同軸レーザーにて角膜side portから360°施行可能
・ロングチューブシャントが無効な難症例にも有用
・海外では白内障手術とECP(ダイオードレーザー)の同時手術も普通に行われており,今後の国内普及に期待

レクトミーと術前点眼:
・FP作動薬によるPAP(Prostaglandin-associated periorbitopathy;プロスタグランジン関連眼周囲症)が重症であるほど,レクトミー手術成績が低下!
⇒ 将来的にレクトミーが必要そうな症例には,FP作動薬を漫然と使用しない!
・BACによる眼球結膜の慢性的炎症でもレクトミー手術成績が低下!

今回も大変勉強になりました。
レクトミー不成功が予測される場合,積極的にロングチューブシャントが行われる傾向が強くなっているようです。
PAPやBACの悪影響を鑑み,外科的手術の早期介入が推奨される時代が来るかもしれませんね。

緑内障学会は決して派手でなく,機械展示は必要最小限にて質素。
とはいえ,セミナーのお菓子やお弁当はとても美味しい! もう10年以上前,金沢での同学会セミナーの豪華海鮮懐石弁当(サザエのつぼ焼き入り)にとても驚かされた記憶が…笑。
開催地にもよりますが,参加登録者はそれなりの数であるものの,会場に人が少ない学会もあったり…..緑内障学会の会場内は人が多く,毎度のことながら本来あるべき学会の姿だなあ〜と。
来年は姫路での開催 ♪

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高用量アイリーア(EYLEA HD)

先週は,硝子体茎離断術×3(糖尿病性硝子体出血・裂孔原生網膜剥離・IOL脱臼)〜ICL近視矯正手術〜水晶体再建術(IOL強膜内固定・両眼同日・連続焦点トーリックを含む)〜iStent inject W 挿入術(緑内障)。
今週は,レーシック×4〜PTK(顆粒状角膜変性)〜水晶体再建術(両眼同日を含む)〜出張手術(笠間眼科)。
皆さん経過良好です。

先日,high-dose高用量アイリーアEYLEA HD;Regeneron社)が,滲出性加齢黄斑変性症(wet AMD)・糖尿病性黄斑浮腫(DME)・糖尿病性網膜症(DR)を対象とし,米国FDAにて承認されました。
硝子体注入量は,通常のアイリーア2mg(0.05mL × 40mg/mL)であるのに対し,EYLEA HD8mg(0.07mL × 114.3mg/mL)で,1回あたり4倍
にもかかわらず,副反応はアイリーアと同等とのこと。
薬価は上がるので導入初期の費用は増しますが,投与間隔延長による総費用および通院負担の軽減が期待されるようです。
国内での承認は未定ですが,おそらくさほど時間はかからないと思われます。

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地図状萎縮に対するIZERVAY(avacincaptad pegol)

週末からお盆休みのため,今週は,水晶体再建術(両眼同日・連続焦点トーリックを含む)〜睫毛内反手術(埋没法)のみ。
皆さん経過良好です。

先週,IZERVAY™avacincaptad pegolACPアステラス社)が「地図状萎縮GA;geographic atrophy)を伴う加齢黄斑変性」の治療薬として米国FDAに承認されました。

本年2月に,SYFOVRE補体因子C3の阻害剤)がGAの治療薬として初めて承認されました。IZERVAYは2番目のGA治療薬となりますが,補体因子C5の阻害剤としては初めてです。

GA(萎縮型加齢黄斑変性;dry AMD)は,黄斑部網膜が加齢とともに萎縮し,徐々に拡大してくるもので,加齢黄斑変性の多くはこのタイプです。萎縮の進行は遅く,ゆっくりと視力が低下していくのが特徴です。
一方,滲出型加齢黄斑変性(wet AMD)において,抗VEGF療法にて滲出型病変は沈静化したものの,黄斑部網膜の萎縮病巣が徐々に拡大し,視力低下が進行してしまう症例も少なくありません。
萎縮病変の拡大をいかに早期に抑制できるかが鍵となり,このIZERVAY投与によって進行スピードが緩やかになることが立証されています。

いずれも黄斑部網膜の萎縮が治癒するわけではありませんが,進行のスピードを鈍化させることは確かです。
国内での早期承認を期待しましょう!

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