日別アーカイブ: 2017年2月18日

プラケニル

今週水曜は硝子体茎離断術(裂孔原性網膜剥離)〜水晶体再建術
木曜はレーシックPTK・エキシマレーザー角膜混濁除去術。

金曜は水晶体再建術(二焦点を含む)〜眼瞼内反手術。
皆さん経過良好です!

本日はプラケニルの眼合併症について。
プラケニル(ヒドロキシクロロキンHCQ)は、全身性エリテマトーデ ス(SLE) ・皮膚エリテマトーデス(CLE)に対する世界標準的な治療薬です。米国では1955年に承認され、本邦では2015年7月にSLEとCLEに対する適応が承認されています。

抗マラリア薬として使用されたリン酸クロロキン(CQ)の薬害としてクロロキン網膜症があります。典型的なクロロキン網膜症では、黄斑部網膜が萎縮変性し、中心視力が不可逆的に低下してしまいます。CQより発現はまれであるものの、HCQ使用中の患者でも網膜症が一定の割合でみられます。
CQ同様、HCQによる毒性の発生機序はいまだ不明。HCQ累積投与量が200g以下であればほとんど心配ありませんが、200gを超えると網膜症発現率が数%になるとされます。

以上を踏まえ、本邦の眼科診療指針は下記の通り。
◆ プラケニル投与開始後は、少なくとも年1回の頻度で眼科定期検査を実施する。
◆ ハイリスク患者(本剤の累積投与量が200gを超えた患者・高齢者・肝機能障害または腎機能障害患者・視力障害のある患者・SLE 網膜症患者・投与後に眼科検査異常を発現した患者)では、患者の状態に応じて年1回よりも頻回に検査を実施する。

世界70か国以上で使用されているHCQ。米国から遅れること60年….遅すぎの感は否めませんが、日本の安全性に対する慎重さを表しているともいえるでしょう。
網膜症はHCQ投与開始より5〜7年を超えると発現率が高くなるとの報告もあります。本邦では承認されてからまだ1年半ですから、今後も長期的な経過観察が必要です。

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